私と貴方の三つの約束

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「一つめの約束は……」穏やかな声色が二人を繋ぐ。 『一つめの約束、結婚してからも名前で呼び合おう』最初の気持ちが大事だからね。私だって覚えてるよ。 「結婚した後も名前で呼ぼう。最初を忘れない様に」 水沢さんは俯いたまま直衛君の言葉に耳を傾ける。 「二つめの約束……」一つ一つの言葉を確かめる様に頷きながら続けて行く。 『二つめの約束、死ぬ時は一緒がいい』出来れば……だけど。周りは迷惑かもね。 「死ぬ時は出来たら一緒に」 『 死ぬ』何て言葉に水沢さんは思わず顔を上げる。 次は最後だよ。直衛君、間違えたり噛んだりしないかな……。 「三つめの約束……」 『三つめの約束、もし死別しても未来を託せる人が現れたら迷わず一緒になる事』大事なのは生きている人の幸せだからね。 「どちらかが死んで、残された方に将来を共に出来る人が見つかったら迷わず一緒になる事」私との三つの約束を伝えた直衛君は大きく一つ深呼吸した。 『頑張った、頑張った。偉いね』 地面から少し浮いて目線を直衛君に合わせて、頭をポンポンしてあげた。直衛君、すっごい緊張してる……。全身カチコチだね。 「出来たら……出来たら、もう一度水沢さんと三つの約束を交わしたいんだ。だめだろうか……?」
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