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『直衛君に異論無し……かな。ただし、みんな絶対幸せになってよ。直衛君、秋穂、春樹、千絋さん』
直衛君は静かに千絋さんに歩み寄ると、優しく包み抱き締めた。私にしてくれたように……。
「……三つの約束、交わしてくれる?」
「……はい」千絋さんは直衛君の胸に顔を埋めた。
そこへ聞き慣れた元気な声が、二人の時間に割って入った。
「パパ~。早く~。お坊さんが待ってるよ~」
「千絋ちゃん、どうしたの?病気なの?」春樹が千絋さんのスカートの裾を握って見上げている。
千絋さんは慌てて直衛君から離れるとしゃがみ込み、春樹と目線を合わせた。
「春君、大丈夫よ。私は、ほら、元気!」温かみのある笑顔で返すと今度は春樹が抱きついた。
『もう……我が家の男共は。やっぱ春樹は直衛君の子だわ』
「春樹、千絋さんは大丈夫だよ。でも、心配だから今夜は泊まるってさ」
「え?パパ本当?千絋ちゃん今日お泊まり会なの?」
「え?御崎さん、私そんな事言ってな……」
「千絋さんに今日、お泊まりして欲しい人!手を上げて!」
直衛君、強引だなぁ。たまにこういう事するんだよね。
「は~い!」春樹が元気一杯に手を上げる。
「私も!千絋ちゃん、泊まろうよ~」秋穂も甘ったるい声でおねだりする。
「僕も……千絋さんは?」
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