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観念した様な、困った様な……でも最後にニッコリ微笑んで「はい……私も」千絋さんは控え目に手を上げた。
その夜、千絋さんは御崎家にお泊まりした。そして直衛君と二人で夕食の準備をすると、昨日同様ワイワイガヤガヤした夕食を楽しんだ。
その後、秋穂と春樹の提案で今夜はリビンクでみんなで寝る事になった。左から秋穂、直衛君、千絋さん、春樹の順でみんなでゴロ寝。私は……秋穂と直衛君の間に潜り込んだ。
昼間出掛けた所為か、秋穂と春樹はすぐ寝付いて静かな寝息を漏らしている。
隣の直衛君の方を向いて寝顔を見ていると、直衛君が呟いた。あ、寝てなかったんだ。
「千絋さん、起きてる?」
直衛君の向こうで寝返りをする千絋さんの気配がした。
「はい、やっぱり寝れなくて……」
「だよね。僕も同じ。あ、あのさ敬語とかはしなくていいよ。家族に……なるんだし」
「えと、うん。でも少しずつで。慣れるのに時間掛かるかも」
「うん。少しずつでいいんじゃない」言いながら千絋さんの方に寝返りを打った。
私は直衛君の背中を見詰めた。その背中が少しずつ離れて行く。直衛君と千絋さんが重なり合うのを感じて、慌てて背を向けた。無心に目を瞑って耳を塞いで体を丸めた――そして気付いたら朝を迎えていた。
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