自由落下の向こうに

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最初は、私を亡くした家族の悲しみを見るのが辛かった。 でもやっぱり家族のその後は気になる。そうやって二回、三回と里帰りを繰り返すうちに、家族に少しずつ笑顔が戻るのを見て、私も安心して家族を見守ってこれた。 それに子供達の成長を見るのも、すっごい楽しみ。私はそうして四度目の里帰りの為、地上に舞い降りた。 何故私は一度死んだ身でこんな事が出来るのか?それはこの里帰りは私の労働の報酬だから。 死んで天国へ登った私は、そこで神様に出会った。神様の仕事は死んで天国に来た人が過ごす場所を探し、天国での落着き場所を決める事だった。 天国に来た私は神様にスカウトされたのだ。天国に来た人達各々に相応しい、天国での住まいを決める為のヒアリング――それが神様から任された私の仕事だ。 その報酬として私が神様に要求したのが、年に一度の里帰りだった。ただし、無制限と言う訳ではなく、五回までと決められていた。つまり、五年限度の期限付非正規雇用だ。 だから――愛する家族に会えるのは、今回を含めて、あと二回……。あと、二回だけだ……。 会えるのもあと僅か……そんな感傷に浸って、ぼんやり地上を眺めていた私を現実に引き戻す光景が目に飛び込んで来た。
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