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「私、宮田佳純。宮下さんと私が組んで、『ダブル宮』ってペアにしない?」
私、宮下ひかりが地元の高校のバドミントン部に入部したのは、2年前の春だ。そんな私に初めて話しかけてくれたのが、佳純だった。それから私たちは一気に打ち解けて、佳純の提案通りに本当にペアを組んだ。
3年生になった私たちは、高校最後の夏を迎えていた。私が佳純と一緒に戦う最後の舞台は、全国高校総体の南関東ブロック。ここで勝てば全国、負ければ引退の分水嶺だ。
「ひかり、まだまだこれからだよ」
隣から佳純の声が聞こえて、私は意識を試合の方に向け直す。相手ペアの厳しい攻めにペースを握られて、とどめのスマッシュを決められてしまったばかりだった。
私は足元に転がったシャトルを見下ろしながら、さすが優勝候補の強豪ペアは簡単には勝たせてくれないなとうなる。ふうと息を細く吐き出してから、額についた汗を手で拭う。
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