青春リベンジマッチ

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集中集中と、私は今の試合状況を思い出す。 私たちは第1セットを取ったものの、今やっている第2ゲームでは13対18で向こうにリードされている。点差は大きい。しかしここから逆転して先に21点とれれば、この試合は私たちの勝ちだ。 息を整えながら、私はコートの端のベンチに座っている男性に目をやる。富田先生、と私は心の中で呟いた。富田先生と過ごしたこの青春の日々を、私はきっと忘れないだろう。 富田先生がバドミントン部の指導者として学校にやってきたのは、私たちが高校に入学したのと同じ年だった。部活の自己紹介の時に富田先生はもうアラサーなんて自虐していたけれど、モデルみたいな先生の顔は新入生たちにもウケがよかった。 おまけに先生は長身でスタイルもよく、私たちと年齢が近いこともあって、同じ趣味の話で盛り上がった。楽しくて、真剣で、そして頼りになる。そんな大人の男性に出会ったのが初めてで、私の胸は高鳴った。
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