胡麻カクイチ 18歳

1/1
前へ
/19ページ
次へ

胡麻カクイチ 18歳

「はぁ、はぁ、はぁ……」  カクイチは一目散に、山の中へ山の中へと入っていく。樹々の合間を縫うように走り、今のカクイチにゴールなどなかった。顔や瞼は真っ赤に腫れあがり、唇は切れ、前歯は折れてシャツは自らの血で赤く染まった。左腕の龍のタトゥーも赤く濁っているようにみえた。  コトの発端は、カクイチが詐欺の仕事で独居のばあさんのところに取り立てに行ってたことが始まりだった。  
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加