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「やめろッ、てめぇ正気かぁ!」
ガン! ゴン! ガン、ガン!
「アガッ……あうぅ……。ぐふぉッ、つぅぅ」
身の危険を察知した吉永から強力な肘鉄を何発も食らい、顔面から噴き出るように出血したカクイチは、手でその顔を覆い伏せた。三車線ある道路の端から端まで流れた車体は一時方向を見失ったが、クルマの台数が少なかったことと吉永の判断、そしてグリップのいいタイヤに守られ何とか衝突を免れた。
「おっまえ……。自分で何やったかわかっているのか! 俺まで怒らせたな、カクイチ」
シズヤマ出口の看板が見えると、吉永は減速しクルマを左車線に寄せた。
「仕方ねぇ。ここらで降りるか」
方向指示器を左に出し、予定よりも二つ手前で高速を降りた。カクイチはまだ顔を覆っている。
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