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「今はこの不思議な世界が好きかな。異世界に行きたいと思ったらなんとなく願ったような願ってないような中途半端だけどね」
マカールたちは私の住む世界にも行けるし、自分たちが住む世界にも行ける。
本当は平和なところに居たいだろうが、故郷を置いていけない気持ちもあるのだろう。
彼らの幸せがどうなっていくのだろうか、それをずっと見守っていきたいと思った。
「そういえばさ、あなたの名前ってなんて言うの?」
「ああ、私は……」
と名前を簡単に名乗った後に趣味などあらゆる話をした。
好きな音楽について話をしているとナターリャがこんなことを言い出す。
「あー、なんかむしゃくしゃする。戦争になる前は何もかも自由だったのに、今は不自由だらけなんだよな。ああー、なんかやりたいー」
「なんかって何やるの?」
「うーん……セッション!」
音楽かと私は振り返る。
幼稚園、小学校の頃は音楽の授業でみんなと一緒に何かを演奏していたなあと思い出した。
なんとなく楽しかった記憶がある。
「セッションねえ。何か楽器があったらいいけれど」
簡単に用意できそうなものだとリコーダーやカスタネットとか?
そう考えているとマカールが
「あるよ」
と言い出した。
某ドラマの名わき役のように言い出したマカールにふいにドキっとする。
何があるのかと気になっていると、ついてきなといわんばかりに歩き出した。
キッチンを抜けた先はプライベートルームに続く廊下、その先にある部屋の真横に階段がある。
地下室へと足を運んでいくと大きな空間がぱーっと開いてきた。
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