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「そういえば、セッションってどうやって始めればいいんだ?」
と私が言うと、マカールとナターリャはハッとした顔になる。
二人はセッションをやりたいと思っていたが、方法については何もしらなかったのだ。
「うーんと……適当?」
と無責任な発言をするナターリャに空気がしんとする。
誰も始めなさそうな雰囲気だったし、少年も慣れてないのかオロオロとしている。
これは自分がやるしかないだろうと思ったので、ラテン系の楽器の一つ、コンガを叩き出した。
いきなり激しく響いたコンガの音、そして無言で始めた私の様子にみんなは驚いたのだが、それぞれが音を出そうと行動を始める。
ピアノ、ドラム、そしてトランペットの音が響いていく。
みんなうまいこと乗ってきたなあと気づいた私はコンガからリコーダーへと乗り移った。
少年の様子をちらりと見る。
最初はおずおずとピアノに触れていたが、目が生き生きとしていた。
初めて訪れたところだし、普通のパン屋とは違うから緊張していたのだろう。
その糸が切れてよかったと私は安堵した。
マカールはドラマを一定のリズムで刻んていて、ナターリャも落ち着いている。
ちょっとまったりしてきたなあと思ったので、カスタネットを二つ持ってフラメンコのような踊りをしてみた。
リズムが変わってきたことにみんなは少し動揺しているが、すぐに合わせてくる。
段々とセッションが楽しいと思うようになってきた。
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