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「ごめんね、なんか重い話をしちゃって」
「ううん。ずっと大変なんだもんね。愚痴とか何か話をしてよ。私ばかり聞いているのは悪いし、フェアじゃないから」
「優しいのね。だからこそ、再びここに来れたのかもしれない」
ナターリャはアダムが用意したパン生地を起用に広げていく。パンを頭上にふいと飛ばせてくるくると回転。
薄くなる生地を見て私はピンときた。
「ピザを作るのね」
「そう! みんあでワイワイするのにはピザが一番だと思ってね」
ピザ回しはとても難しく、上手にできるのにはそれなりの技術が必要。
簡単にピザ回しができるとはすごいと私は思った。
「トッピングとかはどうするの?」
「ああ、それはこの建物が用意してくれるよ。大抵は自分たちでやるけれど、早く完成させたいなあと思う時にはちゃちゃっと助けてくれるの」
とナターリャが言ったとおりに気が付いたらピーマンやハム、チーズやトマトソースなどが置かれていた。
「すごい便利だな」
「まあね。何かこの建物にお礼をしたいのだけれど、なんかよい方法が思いつかないからとりあえず祈ってる。ありがとうって、いつも朝と夜にね」
「そうなんだ」
「さあて、ぱっとやりますかね。セッションがどうなったのかすごく気になってしかたない!」
「確かにね。ちゃんとうまくいっているのかな」
ピザが焼きあがるまでの間、私たちは話を咲かせながら想像していた。
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