0人が本棚に入れています
本棚に追加
セッションの行く末
ピザが焼きあがった後、ナターリャは机の上にピザとオレンジジュースの入ったグラスを並べる。
そして3回カウントすると、パッと消えたのだ。
ナターリャ曰く、地下のホールに移動したという。
「すごいなあ。魔法を使っているみたい」
「この建物自体が奇跡みたいなものだからね。これがあるおかげでジュースをこぼすこともないし、ピザもうっかり落としてしまうこともない!」
「いいなあ。私もよくうっかりとするから頼りたいわ」
きゃっきゃうふふと話をしながら地下に降りたのだが、穏やかな雰囲気が激しい音によってぶち壊される。
連続するピアノとドラムの音、審判のように両者の間に入るエレキギターの音で構成されていた。
何があったんだよと驚いた私たちは駆け込む。
一心不乱にマカールはドラムを、少年はピアノに向き合っていた。
マカールはなんだろう、ロックバンドか? あの伝説のバンド、XJAPANのドラマーみたいに全身を振り回している。
おいおい、この人こんなに激しい人だったのかと初めて知った。
少年も負ける物かとピアノを壊す勢いで激しい演奏を続けている。
アダムは傍観者としてエレキギターを時々鳴らしていた。
「え、これどうする?」
「声、かけにくいよね」
「このまま見るのは面白いけど冷めるぞ!」
「……」
私とナターリャピザと激しいバトルをする男たちを見ながら困惑。
どうすればいいんだよと頭を抱えた。
「音楽が激しいなら音楽で制するしかないな。早くピザ食べたい」
「そうだね、冷めちゃうもんね」
と私は提案し、ナターリャも動くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!