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ダサイと思っていたのに・・・
俺がしていたことも“家族ごっこ”なのだと分かった。
「天野君も、山ノ内社長と木葉社長のキス見ましたか?」
「・・・は?」
2年間、紅葉の父親の会社に潜り込み盗める物は盗んだ。
何食わぬ顔でひたすら盗み取った。
そして紅葉の会社に・・・“俺達”の会社に戻った。
“紅葉と俺の会社”に戻った。
俺の認識はそうだった。
そうだったのに・・・。
戻ってすぐに聞いたのは、他の社員からのこんな言葉だった・・・。
「紅葉と山ノ内先輩が・・・なんだよ?」
睨み付けた俺に社員の数人が少し驚いた顔をした。
でも少しだけで・・・。
この俺の睨みでも怯まない強い奴らだとすぐに分かった。
「“紅葉”って・・・、天野君と木葉社長ってお知り合いなんですか?」
「まあな、きょうだいなんだよ。」
「木葉社長ってごきょうだい沢山いらっしゃいますからね!!
天野君もそうなんだ~!!」
数人の社員が頷きながら俺を見上げ嬉しそうな顔をして言った・・・
「大変なご家庭だったと思うので、あんなに素敵な彼氏さんが出来て良かったですよね!!」
そう言いながら、これからクライアント先に2人で向かう紅葉と山ノ内先輩を見ながら数人が笑っていた・・・。
紅葉の“彼氏”であったはずの俺に向かって、そう言いながら笑っていた・・・。
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