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社長室のデスクで、さっき行った社内会議での資料をもう1度見返す。 1月中旬・・・年が明けたばかりなのに社員にはバタバタとさせてしまった。 大学のゼミの先輩と立ち上げた経営コンサルティングの会社。 設立10年目、社員数は50名程度。 少数精鋭でここまで来た。 これまでも色々なことがあったけど、今が1番の踏ん張り時。 私とダブル代表をしていた先輩が大手企業の社長候補として転職をしたから。 「社長、眠っていますか?」 秘書(男)の天野(32)が、私にしょうもない質問をしてきたので笑った。 「眠くないから寝てないな~。」 「アドレナリン出しすぎです。 女性で32歳なのでアドレナリンよりも女気出していきましょう。 だから山ノ内社長に捨てられたんですよ?」 そんなことを天野から言われてしまい苦笑いをする。 「枯れるのは名前だけにしてくださいね。」 「紅葉(もみじ)って枯れてるの!?」 「枯れる一歩手前の状態じゃないですか?」 「でも紅葉の瞬間は綺麗だから良かった。」 「俺でよければいつでも紅葉を狩って差し上げますよ?」 天野がそう言いながら極上に整った男らしい顔で私の顎に少し指を触れ、持ち上げた。 その極上に整った顔を見ながら笑う。 「紅葉狩りってこと?」 「紅葉狩りは紅葉を眺めて楽しむだけなので、俺にはそんな趣味は全くありませんね。 紅葉を狩る方が俺の趣味です。」 「冗談は名前だけにしてよ。」 私がそう言うと、天野・・・天野雷(あまのらい)が少し怒った顔をした。 「そう言う社長の名前、木葉紅葉(きばもみじ)も冗談みたいな名前ですけどね?」 それには何の反論も出来ない私は、山ノ内社長に捨てられた社長(女)木葉紅葉(32)。 秘書(男)天野雷(32)と2人で社長室の中、お互いの顔色を窺いながら見詰め合う。 この社長室の中は、冗談みたいな名前の2人だけになってしまった・・・。
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