247人が本棚に入れています
本棚に追加
藤岡副社長を見送った後、天野と私・・・そしてアヤメは会場の料理をモグモグと食べていた。
天野の料理の方が美味しいけれど、全然手がつけられていないし勿体ないと思ってしまった。
そんな私達3人の所に代わる代わる経営者の方達が来てくれ、仕事の話をしてくれ後日のアポまで入れてくれたりもした。
藤岡副社長がうちの会社の良い宣伝もしてくれた。
あの藤岡ホールディングスがうちの会社に経営コンサルを依頼していると誤解させてくれたから・・・。
それに・・・
「これって、私は無事に生きて帰れたってことじゃない?」
天野を見上げながら言うと、天野は無言になった。
無言になりながらアヤメに視線を移した。
「私が紅葉を殺させるわけがないでしょ?
愛してる女を殺させるような人間に、私は誰からも育てられてない。
実のお母さんからも“ママ”からも雷のお母さんからも・・・社長からも女社長からも秘書からも。」
「それはまあ、そうだけどな・・・。
先に言えよ。」
「言ったら絶対にやらせてくれないのは分かってた。
愛してくれているから。
雷も紅葉も、私のことを愛してくれているから。」
アヤメが美しく笑いながら私を見た。
「私、紅葉に謝らないといけないの。」
「私に?なんだろう?」
「“もういいよ”って紅葉に言えなくなったの。」
最初のコメントを投稿しよう!