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紅葉は必死に抵抗していた・・・。 こんなに抵抗されたのは初めてで・・・。 最初の時だってすぐに受け入れてくれたのに、こんなに抵抗されたのは初めてで・・・。 それで分かった・・・。 本当に分かった・・・。 紅葉が俺を捨てたのだと本当に分かった・・・。 最後に紅葉を抱いたのはいつだったか・・・。 あんなに毎日のようにしていたのに、いつからか誘える雰囲気でもなくなっていて。 それくらい・・・紅葉は赤ではなく緑の葉っぱのような紅葉だった・・・。 中学でも高校でも大学でもクラブでも、どこにいても誰もが立ち止まってしまうくらい濃い赤だった紅葉の色は青くなってしまっていた。 俺と一緒にいる時だって、こんなに青くなってしまって・・・。 “誰”といる時だったらまた赤くなるのか・・・。 “誰”にだったらまた赤くなった紅葉を見せるのか・・・。 “誰”だったら赤い紅葉を見られるのか・・・。 そんな分かりきっていることを聞けるほど俺はダサイ奴にはなれなかった。 だから・・・最後にもう1度だけ深く紅葉の舌を思いっきり絡ませた・・・。 俺の胸を強く押す紅葉の身体を力いっぱい抱き締め、泣きそうになる顔を見られてしまわないようにした。 最後の最後まで逃げ続けた紅葉の舌を最後に優しく離し、身体も優しく放した・・・。 紅葉も俺を見ていなかったと思うけど、俺も紅葉の顔は見なかった。 どんな顔をして俺を非難してくるのかが怖かったから。 だから何も言わず、そのまま社長室を出た。 何も聞かず、何も言わず、何もなかったように俺も終わらせようと思った・・・。 それが1番ダサくない奴でいられる方法だと思っていた。
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