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僕が働いているのは、地元のラーメン屋「ちゃんぽん」だ。ちゃんぽんという名前なのにラーメン屋で、ちゃんぽんは売っていない。普通に店名詐欺だよなと思う。 大学卒業後に新卒で入った会社がかなりのブラック企業で、僕は一年を待たずに退職した。その後短期のバイトをしながらふらふらしていた僕は、二十四歳になっていた。そんな僕の生活を見かねた母が紹介してくれたのが、ヒロさんだった。 ヒロさんは五十代の男の人で、白髪の混じった長い髪を後ろで束ねた、ちょっと怖い感じのおじさんだった。夫婦で始めた地元のラーメン屋さんは、今年で開業30年になるらしい。 2年間に奥さんが亡くなってもヒロさんはお店を続け、アルバイトの人と協力して店を切り盛りしていると母から聞いた。 しかしちゃんぽんに勤めていたアルバイトの人が家庭の事情で店をやめてしまい、ヒロさんはお店を閉めることも本気で考えたらしい。 そんな時にヒロさんが母経由で僕のことを知り、僕はこの店で働かせてもらえることになった。ヒロさんはふらふらしていた僕を「ちゃんぽん」という場所に導いてくれた人で、いわば僕の恩人なのだ。
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