#4

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僕はマスクのことをヒロさんにも相談したが、やはり飲食店でマスクをしないわけにはいかないと言われて、打つ手がなかった。 コロナなんてすぐ終わると言い聞かせて辛抱していたが、半年ほどで限界がきて肌が赤くただれてしまった。 それでもこんなことで大好きな仕事を諦めてたまるかという思いが僕にはあった。しかし僕の体は悲鳴を上げて、ついに限界を迎えた。ある日仕事中にお店で意識を失い、救急車で運ばれたのだ。 2020年の暮れに「体がもたないのでお店やめます」と、僕は泣きながらヒロさんに伝えた。ヒロさんはすまんな、と一言だけ呟いて僕を責めなかった。 僕が礼を言って部屋を出る間際に、ヒロさんが「コロナがなければなあ」と悔しそうに言っていたのを昨日のように覚えている。 その後近所の皮膚科に通ってみたが、マスクをつけると調子が悪くなるという症状の治療法は見つからなかった。 このままマスクをつけられない限り、このご時世まとも働くことさえできないと僕は絶望し、精神的に追い詰められていった。
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