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社会人として一人暮らし、ふと殺気だつノスタルジー。鼻についたカレーライスの匂い、そこで目が醒めた。排水溝を掃除しなくては、
カーテンの先を見やれば望むビルとクレーン、窓を開ければ叫ぶ人々の喧騒と阪急のさざめき。誰一人としてあの帰り道にアメリカンドッグを買ったセブンイレブンの代わりになるものはいない。
関西人はコレを "閑静な程よい田舎" などと言う。それを聞いてたまげた私はまた一人、徒歩二分のマックに資本主義の栄華を叫びながら、自炊が出来ないほどに伸びた残業に社会主義の革命を願うのである。
鍵を開けボタンを押し、エレベーターで上がり続け、もう一度鍵を開け、ようやく拡がる個人の空間。あの日あの時あの家は、親から渡された鍵も使わず二階の窓から侵入した家はもう無いのだ。咳をしても一人、しなくても独り、何叫んでもポツリ、どうしようもなく布団に包まり、こんなことを綴るしか生きる道がないのだ。
この小綺麗なアパートの6回、窓の下、ベランダの向こう。その先に夢は無い。明日も無い。ただ希望も無い時、そこは救いになるだろうか。その前ににげるだろうケド、
許されるならば、いつまでも子供でいたいよ。週休一日でもいいさ、家に帰ったらあの家が、まだあった日に戻りたいんだ。望んだ未来で臨んだ道にいるのに、ふとたまに泣きたくなるくらいそう思うんだ。
9時を過ぎて眠くはならなくなった。会社の人たちは皆優しく、こんな自分を叱らず恐れず避けず嫌がらず、アットホームに接してくれる。誰か殺してくれ、
私は将来、何なっているだろう。10年後、そう30になった時さ、今と同じは嫌だな。出来れば、出来ることならば少しぐらい人間としてもう少しマシになって、出来れば小説家に慣れていたいな。
次地元に帰った時、小学校の帰り道をもう一度歩いてみようと思うんだ。変わり続ける私と社会に、変わらないものがあるかも知れないから。もしかしたらホタルがまだ、生きているかもしれないから。
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