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わたくしは我に返り、とても恐ろしくなって、お屋敷のそとに飛び出しました。
ここに来た時以来通ったことのないレンガの道を、必死になって走りました。道には青い栗のいががそこここに落ちていて、わたくしの足をもつれさせ、肌を傷つけました。
後ろから誰かが近づいてくる気配がして、わたくしはその場に倒れ伏しました。もうどういうことになろうとも、わたくしが守りたかったものなど、もはやどこにもないのだという気がしていました。
〈おしまい〉
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