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わたくしはテーブルの上を片づけると、ホットワインを持って旦那様の居室に向かいました。
考えてみればわたくしは、最初からわかっていたのかもしれません。なぜ語学のできる女中が必要なのか。
ノックをして部屋に入りますと、旦那様はワインを受け取り、わたくしを窓のほうを向いて立たせました。
窓にはカーテンがかかっておらず、書斎のランプの灯りで、自分のあどけなさの残る顔と、背後の旦那様が映って見えました。
服を脱ぐように、と旦那様はフランス語でおっしゃいました。
戸惑いはありませんでした。身体の芯から熱いものが駆け巡るのを感じながら、ひとつ、またひとつとボタンを外していき、とうとう一糸纏わぬ姿になりました。
わたくしの細い、乙女の身体が、ガラス窓に映っておりました。
旦那様はわたくしを後ろから抱きしめ、「寂しかった。私はずっと寂しかったのだ」とフランス語でおっしゃいました。香水の匂いよりも強い色香で、くらくらして立っていられないほどでした。
旦那様はわたくしの胸をそっと手のひらで包みました。ささやかな胸が急に恥ずかしくなりましたが、旦那様はわたくしの首筋に鼻を当て、大きく深呼吸なさいました。
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