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悲劇
ああ、それからの日々はなんと楽しかったことでしょう。晴れて旦那様の内縁の妻となり、めくるめく夜を数え切れぬほど過ごし、子供は全部で五人になりました。男の子が二人と、女の子が三人でした。
わたくしはもはや給仕などせず、それは料理人の仕事になって、奥様が残した派手なドレスを着て、美味しいものを食べ、ワインを吞みました。他の使用人も一緒になってテーブルを囲い、酒を呑み明かしました。
しかし、楽しい時間も永遠には続きませんでした。
上の男の子がそろそろ六歳になろうかというある晩、寝室に入ると、世にも恐ろしい光景が広がっていました。
五人の子供が五人とも、あのミイラのような顔をして、もだえ苦しんでいたのです。まだ幼いのに、子供たちの顔は老人以上に皺くちゃで、目は落ちくぼみ、這いながらこちらに向かってくる様には恐怖を覚えました。
わたくしが叫び声をあげますと、旦那様と使用人たちが駆けつけてきました。
旦那様は
「天罰が下ったのだ」
と言って、わたくしを寝室から出すと、あの隠し扉となっている本棚を閉じ、鍵をかけてしまわれました。
「これでなにもなかったことになる。お前も早く忘れるのだ」
と。
あの子たちは死んでしまうのだ、わたくしがあそこに閉じ込めたのだ、と思うと、悲しみが込み上げてきました。
わたくしの気持ちはぐちゃぐちゃでした。早く行って、あの子たちを助けてあげなければという思いと、あの恐ろしいミイラの顔に相対する勇気がないという思いと。
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