ぽんぽこたぬきの傍らで

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舞台のたぬきの恰好をした園児達は、 輪になって踊ったり、台詞を言ったりしていた。 それをこのみの両親は羨ましそうにみつめながら、 動かぬ『木』の役を満面の笑みで 演じている(といっても小道具の木から 顔をだしているだけ)の我が子の姿を ビデオに撮って、なおかつライブ配信を このみの祖父母達に送るのだった。 そして、園児のたぬき達のダンスが佳境に 入った時。 園児のたぬき達が一列に並んで にっこり笑うと このみが演じている木の傍まで来ると 声をそろえて 「木さん木さん、一緒に踊りましょう」 と言ってこのみを舞台の真中に 連れて行ったのだった。 そして、このみが演じる木の周りを 何事もなかったかのように ダンスを踊るのだった。 それを見た全ての園児の両親達は わぁぁっと歓声をあげた。 このみも嬉しそうに体を揺らして ダンスを踊るのだった。 ・・・・・・・それからン十年後 「先生、なぜうちのくるみだけ『岩』なのですか」 くるみは、母のこのみが 何故怒っているのか 不思議そうに見上げた。 「このみお母さん、落ち着いて下さい」 歴史は繰り返す・・・ 了
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