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「先生、なぜうちのこのみだけ『木』なのですか」
このみは、お母さんが何故怒っているのか
不思議そうに見上げた。
「このみちゃんのお母様、落ち着いて下さい」
担任の野の花美智子が、このみの母親を
なだめながら言った。
ことの発端は、幼稚園でのお遊戯会で
このみのクラスは、
『ぽんぽこたぬきの月踊り』という
演目をすることになっている。
これは、主人公のたぬき達が
まんまるお月様の元で
楽しくダンスをするという
お遊戯だった。
もちろん、主人公のたぬき達は
クラスの園児達が演じる。
その説明を園児たちにする時に
担任の野の花美智子は
イラストを使って園児達に
説明した。
左下で野の花がピアノを弾き
舞台中央上の奥に満月の黄色い丸があり
その右側に、大きな木があったのだ。
他に、草の群れや切り株が二、三個あり
そういう小道具を園児たちが
作ることも説明した。
そして、舞台真中で園児達が
たぬきのダンスをするのだと
説明した時。
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