ブルーダイヤ

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「…打ち合わせはこれで終わりだ。何か質問は?」 怪盗青ヒゲの一味は秘密のアジトで念入りに打ち合わせをしていた。各自変装をしているので、お互いの顔を知らなかったが、身体のどこかに小さなヒゲの入れ墨をいれていた。それが仲間の印だった。 「万が一、家族にバレそうになったら?」 「バレそうなのか?」 「中学生の娘がカンが鋭くなってきていて、ほんのちょっとしたことでヒヤヒヤしてるんだ」 「今回は参加しなくていい」 「でも、滅多に拝めないテンカラットのブルーダイヤだぜ?」 男は残念そうだった。 彼ら怪盗青ヒゲの面々は、高価なものを盗んで転売するというわけではなく、共通のコレクションとして収集するのが目的だった。 「心配するな。うまく盗めたらお前にもしばらく所有させてやるよ」 「本当か!」 男は嬉しそうだった。 厳重な警備をかいくぐって、怪盗青ヒゲはブルーダイヤをまんまと盗み出した。 「お父さん!」 「なんだ?」 「洗剤どこ?」 「なんの洗剤?」 「洗濯洗剤の買い置き」 「ああ、庭の倉庫にあるよ」 父親はのんびりと休暇を楽しんでいた。一人娘も夏休みで家にいる。妻とは二年前に離婚していた。 「うわあ!!!!」 庭で娘が嬌声をあげた。 「どうした?!」 父親が駆けつけると、娘がテンカラットのブルーダイヤを持ってきゃあきゃあ言っている。 「やっべぇ」 父親は舌打ちした。ダイヤを洗剤の中に隠していたのだ。 「ねえ、お父さん、ほんとだったんだね?」 「なにが?」 「この洗剤に当たりがあって、金銀パールプレゼントって宣伝してたの!」 「はあ?」 洗剤の箱に確かに書いてあったが…。 そうだなあ、ここは、そういうことにしておこうかな…。 緑萌える庭での出来事だった。
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