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〈 ① 〉
私は昔から一人で過ごすことが好きだった。
誰にも干渉されない空間で、自由な時を過ごす。
素敵な空間である。
高校に入ると、友達ができた……ではなく。挨拶を交わす程度のクラスメイト達ができた。
挨拶より向こうへと、会話が進まない。自然に、私をかまうことすら億劫になるのだろう、挨拶のあとには句点がつくようになった。
──おはよう。
──ばいばい。
礼儀や義務、ふいに口をついて出るような、そんな挨拶が一日の中で数回に分けてあるだけ。それが私の学校でのセリフである。
だから、挨拶を交わす程度のクラスメイト達ができた、となるのだ。
大勢でおしゃべりするのが好きではない。だからといって、少人数でのおしゃべりも好きではない。
静かに、一人が好ましい。
だけど、部活動に所属しなければならないという、学校のルールがあり、それが私は嫌だった。
同好会も可、とあるから、そちらを覗いてはみたけれど、やはり私の居られそうな所はなかった。
困った私に先生が「自分で立ち上げてしまえばいい」と名案を打ち出してくれたので、さっそく学校側に申請を出し──かけた。
──入部希望者イラナイ
私は申請をせず、帰宅路にある公園へと向かった。
公園の自販機前に立つ。
おもむろにボタンを押す。
出てきたのは熱めの缶紅茶。
──ヒトリ紅茶部ノ何ガ悪イ
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