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ご飯はちゃんと食べてくださいとか、お野菜もちゃんと食べないと偏りますからねとか、息が詰まった時はゆっくり深呼吸して酸素を沢山体に取り入れてくださいとか、笑う門には福来るですよとか、頭の中で伝えたい事が沢山巡っている。
「異次元……」
そう小さく呟いた大都さんがくすっと笑ったのが分かった。
「異次元は大都さんです。ご飯、まだですよね?」
大都さんは小さく頷いた。
私は無言で大都さんの腕を引いて杉原さんの家のリビングに連れてきた。
「杉原さん、お代は出しますので冷蔵庫の食材使っていいですか?」
「もちろん。お代なんていりませんよ」
「ありがとうございます。あと、大都さんが逃げないように監視をお願いできますか?」
「大都が逃げるなんて心配、僕は微塵もしていませんが、いいでしょう。承ります。ほら、大都、こっちへおいで」
まるで猫じゃらしをフリフリするかのように杉原さんはゲームのコントローラーを振っている。
その隣にいた晃河はギッと大都さんを睨みつけていた。
「僕と勝負して」
晃河は杉原さんのコントローラーを奪い大都さんに突き出した。
「テレビゲームなんてしたことがない」
「だからって何もしないで逃げるの?」
晃河は挑発するように言い放つ。
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