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「負けると分かっている勝負はする意味がない。俺は逃げないから和人と遊んでろ」
「僕はあんたと勝負がしたいんだ」
晃河はぐっと歯を食いしばり、話を続けた。
「勝手に決めつけて一方的に連絡してきて、勝手に逃げて、ずっと僕らのこと無視して、なのに勝手に施して、自己満足で終わるなよ。僕たちだって感情はあるんだ。勝負くらいさせろ」
晃河の目は赤くなっている。
私があんな風になってしまったからだろう。晃河に辛い思いをさせてしまったんだ。
晃河がいなければこんな風に立ち直れなかった。
晃河にお礼を言って、謝ろうとした瞬間、大都さんは晃河に歩み寄り、コントローラーを受け取った。
「分かった。気が済むまで俺をぼこぼこにしろ」
「うん。そのつもり」
杉原さんは私に目配せして、ここは大丈夫だからと教えてくれた。
お辞儀をしてキッチンに向かい料理を始める。
あの頬のコケ具合から言ってあまりご飯を食べられないのだろう。
お腹に優しく栄養があるものを作ろうと細かく刻んだ野菜たっぷりのチキンスープと小ぶりの梅おにぎりや鮭おにぎりを作った。
出来上がった時にはリビングで白熱の戦いが繰り広げられていた。
「ゔぎゃ~! ゲームしたことないなんて嘘つき。トリャ、エイッ」
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