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数学に関してはコツを掴むと柿谷先輩は日を追うごとに、みるみると理解していった。及第点はクリア出来そうだ。 問題は国語。 「こんな面倒臭い文法とか、誰が使うんだよ。俺の周りの大人、誰一人使ってないよ」 「そうですけど必要なんです」 「ゴリ松め、猿の分際で俺にこんな難題を」 「三年生はみんなテスト受けるから」 秘策はない。私も苦手科目だからだ。そこで、急遽協力者を用意していた。 「こんな時の為に、今日は栗田先輩に来てもらいました」 私の拍手で引き戸を開いて部屋に入って来たのはバドミントン部のOG栗田先輩。今は大学生だ。 「栗田麿蘭です。柿谷くん、久しぶり」 「ごめん覚えてない」 「それは、まぁクラス一緒じゃなかったからね」 「麿蘭て書いて麿蘭(まろん)て読むの?」と柿谷先輩はまた鼻をほじりながら尋ねた。癖になってる。鼻をほじるホストなんて売れないでしょ。 「そう、変わってるでしょ?」 「可愛い名前ですよねぇ」と私は栗田先輩をフォローした。ダメもとで相談したら快く引き受けてくれた優しい先輩である。 「モンブラン・モンブランみたいな感じか。里見里美みたいな」 おい! と私は柿谷先輩に心の声を念じた。
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