立ち寄った町(二)

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立ち寄った町(二)

「おれたちの出番はなさそうですね」  ほっとしたように言うのは、数えで十六の玉瀬(たませ)だ。童顔で人懐こい印象の少年は、今はやや大人しく笑んでいる。 「今日はのんびり過ごすとするか」  そう答えたのは三十代半ばの晴道(はるみち)で、太めの眉が凛々しさを際立たせていた。  晴道は上背もあるため、二人が並ぶと、小柄な玉瀬が余計幼く見える。  彼らは不思議を相手取る術師で、依頼を受けつつ旅をする身。しかし、この町ではその類の気配はなく、羽が伸ばせると思ったわけだ。
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