降って湧いた王冠

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「あら、今日は早起きね。おはよう、トム。」 「う、うん、おはよう、母さん。」  キッチンで朝食を作る母と挨拶を交わした後、僕は早速本題を切り出した。 「ねえ、母さん。ちょっと前に、僕が外国の王位継承権を持っているっていう噂を耳にしたんだけど……。それ、本当なの?」  単刀直入に切り込むと、母はしばし黙った後、ゆっくり口を開いた。 「トムももう十七歳だし、そろそろ言うべきね。そうよ、貴方はグラン王国の王位継承権を持っているわ。あなたのお父さんが、ちょっとだけ王朝の血筋を引いていたの。」 「そ、そうなんだ……。」  まさかの本当だったことに戦き、僕はガタガタ震えてしまう。しかしそんな僕を見て、母は慌てるように情報を付け加えた。 「ああ、あんまりよく覚えていないけれど、トムの順位は確か、800位よりも後ろだったはずよ。だから、天地でもひっくり返らない限り、あなたが王様になる日なんか来ないわ。」  そう言って朗らかに笑う母を見て、僕の心も段々晴れやかになる。 「そうだよね、僕が国王になる日なんか……」  来るわけないと言おうとした瞬間、遙か彼方からとてつもない轟音が響き渡った。
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