夏の夜風に吹かれて 大好きなキミへ

1/1
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ

夏の夜風に吹かれて 大好きなキミへ

夏の夜 日課のように西側の窓を開ける 特有の静かで 涼やかで 染み込むような風が吹いている 頬杖をつき 薄く雲のかかった夜空を眺め 思い続ける 振り返った時に まるで空気のように なんの特別感もなく キミが僕の視界にいる事を 「どうしたの?」 「うん、涼んでるだけ」 「へぇ〜何考えてたの?」 「幸せだなって」 「何言ってるの?笑」 「いいじゃん」 そんな会話になっただろうか? 一緒に暮らした事もない 性格も全てを知らない そんなキミとの日常を 僕はずっと想像している 泣いて 追いかければ良かった 悔んで 謝れば良かった 今だったら いくらでも出来る キミと離れて 僕が変わった事 甘える事ができるようになった事 素直になった事 打たれ強くなった事 自己主張ばかりしてたあの時 主導権を握って振り回したあの時 僕は嬉しかった キミが僕と付き合ってくれて 言うことを聞いてくれて だからいつも会いたくて ワガママを通した 一つ年下で闇を抱えているキミに ホントはギュってして欲しかった でも言えなくて 無理して先輩ヅラして 僕に従わせる事で 僕は表現してるつもりだった でもね ホントは背の高いキミに たまには抱きついて 大好きって言って甘えたくて 僕の事好き?って 毎日聞きたかった 好きで好きで 一生懸命に告白して 付き合い始めた途端 僕はキミに好きと言わなくなった 一生分の好きを あの時伝えた気でいたから でも違う 離れている時寂しくて 毎日でも会いたくて だから 休みのたびに 当たり前のような言い方ど 僕のところに来させた 素直に 好きだから 会いたいからって 伝えてたら 僕はキミと今も一緒だった そんな気がしてる 何気なく座ってるキミに 後ろからそっと手を回し 「大好き」って 今なら躊躇いなく言える 「一緒に居てくれてありがとう」って 今なら照れずに言える 言いたい人は居るのに 側にいない 遠い遠い過去に 置き忘れたキミを 僕は取り戻したい 全てを捨てても 僕はあの時出来なかった 僕からキミの胸に 抱きしめられに行ったり 手を伸ばして 「握って」って おねだりしたり そんな事がしたい 頬杖に疲れて そして涙を流す事に疲れ そっと窓を閉め 僕しかいない部屋を眺める 虚しい現実だけど 僕の想いは いつか叶う気がしてる だから 僕は今日も キミへの想いを 胸に秘めたまま 生きている
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!