キミを重ねて

1/1
前へ
/55ページ
次へ

キミを重ねて

なんて事ない 仕事中の世間話 僕は彼に話しかけた いつも 遠い目をして 誰からも 話しかけるなオーラを まとっている彼 いつまでも 距離が縮まらない 恐る恐る でも さりげなく 軽めに話しかけてみた 彼は 僕の方を向いて 柔らかい眼差しで 僕の目を見ながら 答える 話しかけたのに 目を見れない僕 黒目がちの彼の目を 間近で見た 僕の荒んだ目を 見られるのが 恥ずかしくて 軽く目を合わせた程度にした いつもは 彼の背中や横顔を 少し離れて見ている僕 今日だけ縮まった距離 ずっと話しかけたかった 彼との ファーストコンタクト 彼はまだ 話しかけてこないから これからも 僕から話しかける いつか 彼から 話しかけられる人に 僕がなれるように 薄紙を剥ぐように 彼を 僕に近づけていく キミの姿をそこに重ねて
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加