私のお姉ちゃん

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私のお姉ちゃん

「ミア、ご両親のこと残念だったわね。本当になんて声をかけたらいいのか、、、でもねこれからは、私たちを家族だと思ってね。可哀想に事故のショックで記憶も朧げなんて」  目が覚めるとこの家にいた。母の古い友人だと言う久遠夫妻。婦人は心配そうには私のベッドの横で手を握りながらそう言った。広い部屋は、まるで私がこの家に来ることを予定されていたようだ。 「お父さん、お母さんに会えませんか?」 「遺体の損傷が激しくてとても子供には見せられないそうよ。お家も何も残らないくらい焼けていたの。ミアが元気になったら、いつかママが連れて行くわ。あっ、私のことはママと、この人のことはパパと呼んで。この子はスア。あなたより二つ下」  両親の影に隠れてはにかむ笑顔を向けていたスアを今でもハッキリ覚えている。 「一人っ子でわがままだけど、どうか仲良くしてやって欲しい。スア、ご挨拶して」  旦那様に促されてスアが私に近づく。白い肌に大きな瞳、長い睫毛。栗色の髪。その少女は今まで私が出会った誰よりも愛らしかった。 「お姉ちゃん、わたし、スア。ずぅっとお姉ちゃんが欲しかったの。仲良くしてね」  両親を火事で失い、家も思い出も全て失った。この時のスアの存在は私の心の穴を埋めるのには十分だった。
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