昭和警察

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「留守のようですね」 若手刑事の(たて)が言った。炎は館を脇へ押しやり、金田の部屋の扉を拳で叩いた。 「警察だ。玄関を開けろ。居留守なのはわかってる。金田小五郎、無駄な抵抗はやめておとなしく投降しろ!」 応答はない。 「どうします。令状はありませんが」 館が言った。炎ヤマトのサングラスが太陽の光を受けてギラリと光った。 「令状などいらん。突入する。すべての責任は俺が持つ」 言うが早いか、炎は扉を蹴り破った。炎の角刈り頭に浮かぶ汗が飛び散って、辺りに眩い光をキラキラと撒き散らした。 途端に銃声。居留守がバレて泡を食った金田小五郎がたまらず発砲したのだ。 炎は身を伏せながら、ショットガンを乱射しまくった。昭和警察は発砲に際していちいち警告などしない。撃つと決めたなら躊躇わず弾倉が空になるまで撃ちまくる。それが昭和警察のやり方だ。 「師団長!」 部下たちが炎の援護にまわり、44マグナムを撃ちまくった。金田小五郎の部屋は蜂の巣となり、天井も壁も床も一面が穴だらけとなった。硝煙に霞む視界の向こう側。窃盗犯金田小五郎は裏手の窓から飛び降りて逃走を図る。 「裏に逃げたぞ」 危険を顧みず、若手刑事の館が裏の窓を乗り越えてゆく。師団長の炎は表にまわり、改造パトカーのフェアレディZに飛び乗った。部下たちもスカイラインRSターボに飛び乗った。
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