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警察からの注意
ある日、警察から電話が来た。
「お宅の商品が大量に万引きされていますけど気づかれていますか?」
電話を取ったのが丁度綾香だったので、驚いて母を呼び電話を替わる。
「はい。はい。そうですか。わかりました。取りにうかがいます。」
綾香の家では、店の名前が入った値段のタグを一枚一枚レース針で商品に取り付けている。
他の店で万引きした女性が、うちのタグが付いた洋服を5~6枚自分の服の下に着ていたそうだ。
『え~?そんなに?』
そして、警察の人には
「お宅の店もね、こういう被害にあわないようにもうちょっと気を付けた方がいいですよ。」
と叱られたそうだ。
それから、仕入れの方法を変え、おしゃれ物は一点ずつしか買わない。更衣室に人がいるときはレジに用事があっても目を配り、更衣室のドアの上に、カーブミラーをつけて、レジからも見えるようにする。
更衣室からお客様が出て来たときには服を外したハンガーが置きっぱなしではないか確認する。と、少々工夫をした。
もともと狭い町なのに、違うサイズの同じ服。というのは母も店員さんも嫌がっていたのだ。
母がおかずを買いに行ったときに町のスーパーのレジに並ぶ中で、同じ服を着た人が何人もダブってしまい、いつも申し訳ない気持ちだった。人と服がダブるのは田舎の女性も都会の女性も同じで、あまりうれしくない。
父はいっぺんに、がさっと仕入れるのが好きだったが、この事件で仕入れの方法を変えることを承知した。一点ずつ選んで仕入れるのはとても大変だったが、どの服がないのか一目瞭然なので、試着する側も簡単に万引きはできなくなったらしく、それきり警察から連絡が来ることはなくなった。
やはり店にも万引きされないような工夫が必要という事なのだろう。
綾香は、それでも、盗んでいく人がやはり悪いのではないかな?と感じるのだった。
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