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2話 ビ、ビッグトレントですって!?
ギゼルによってパーティを追放された翌日。
魔物狩りを終えた俺は、冒険者ギルドに顔を出した。
「よう。魔石の買い取りをお願いしたいのだが」
「あら、カイルさん。こんにちは。元気そうでよかったです。心配していたんですよ」
「心配?」
「ええ。何でも、ギゼルさんやリリサさんと揉めていたとか。それで、仲直りしたんですか?」
「いえ、仲直りはしていないな。パーティから追い出されちゃってね」
「そ、そうなんですね……。あの、大丈夫ですか? 結構ひどいことを言われていたという噂ですけど」
「全然平気だよ! むしろ清々しいくらいさ! 今日も1人で好きに狩りをしたところだし」
「あの……。ヤケになってはいけませんよ? カイルさんはDランクですし、また新たにパーティメンバーを探して安全に活動してくださいね」
「忠告ありがとう。だが、しばらくはソロで活動しようと思っているんだ」
「そうですか……。まあ、揉め事があった直後にパーティを組むのは嫌でしょうから仕方ありませんよね……。ソロでも低級の魔物なら問題ないはずです。頑張ってください!」
「おう。それで、魔石の買い取りの方だが……」
「はい。拝見致します。……って、ええええぇっ!? な、何ですかこの魔石の大きさは!」
「そんなに驚くほどか?」
「それはもう! Dランクの方がソロで狩ることができる魔物といえば、ゴブリンやホーンラビットぐらいじゃないですか! こんなに大きな魔石は取れませんよ! いったい何を討伐されたのですか!?」
「トレントだよ。森で狩ってきたんだ。ビッグトレントも何体か倒したかな」
「ビ、ビッグトレントですって!? 上級の魔物じゃないですか! それに、トレントだって中級の魔物です! カイルさんがソロで討伐できるはずが……」
「はっはっは。確かにビックリするだろうな。俺も最初は驚いたよ。だが、俺のスキルがレベルアップしてな。よくわからんのだが、植物系の魔物に大ダメージを与えるスキルらしいんだ」
ステータス画面には、こう書いてある。
レベル1:掃き
レベル2:履き
レベル3:葉切
昨日得たスキルはレベル3の葉切だ。
俺はこの文字を読めないのだが、おそらくは植物系の魔物に大ダメージを与える類の言葉が書かれているに違いない。
「そ、そうでしたか……。皆さんに外れスキル扱いされていたスキルが、そんなにもすごいものだったなんて……」
「まあ、所詮は植物系の魔物限定だけどな」
「それでも十分に凄いですよ! 上級のビッグトレントをソロで倒しちゃうなんて!! ウハウハじゃないですか!」
「ふふっ。そうだな。しばらくはトレント狩りで稼がせてもらおうと思っている。ソロだから、魔石しか回収できないのが難点だがな」
「トレントの死体は、木製の武具や薪に利用されますもんねー。やっぱりパーティを組まれますか?」
「都合よく荷物持ちをしてくれる奴がいれば臨時パーティを組んでもいいが、必須ではないな。魔石だけでも十分に稼げるし。そのうち、スキルレベルも4に上がるだろ。そのスキルの力によって、それからの方向性を決めるさ。ビッグトレントは上級で、トレントは中級の魔物だ。今まで狩っていた低級の魔物よりもレベリング効率がいい。おそらく、そう遠くないうちにスキルレベルが上がるはずだ」
「それもそうですね。カイルさんの今後の活躍に期待して、今夜ご一緒にどうですか? もうすぐで上がりなんです!」
「おう。それはいいな。じゃあ、以前も飲んだあの店で待ってるよ」
俺は満足感と共に冒険者ギルドを出る。
ギゼルに追放された時はどうなるかと思ったが……。
スキルが覚醒した今、特に問題はないな。
しばらくはトレント狩りで稼がせてもらおう。
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