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7話 スキルレベル4
「おっと。俺の4つ目の力を見せようと思ったが、今は見せられないな……」
「発動に条件が必要なタイプの能力なのですか?」
「ああ、そうだ。本来はこの森のような場所がうってつけなのだが、つい先ほどまでの狩りであらかたの魔物を狩ってしまったせいだな……」
「ということは、4つ目の能力も3つ目と同じように、植物系の魔物に有効なスキルなのでしょうか?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。見せた方が早いと思ったんだけどなぁ」
「そうですか……。それにしても、カイルさんの『ハキ』って、いろいろな能力がありますよね。規則性がないというか……」
「ああ。どうやら、一言で『ハキ』と言っても、異国か古代の言語では様々な表記方法があるようなんだ。確か、象形文字とかいうやつだな」
「へえ? つまりカイルさんは、今後も規則性のない様々な能力を得る可能性があるってことですね! 何だか凄いことのような……」
「希少性があるのは確かだが、凄いと判断するのは早計だ。実際、スキルレベル1と2の能力はほとんど使い道がないし。3は植物系の魔物に特効があるから有用だけど。そして、スキルレベル4は……。おっと、使い時がやってきたようだ」
「え?」
「エミリア。俺の後ろに隠れていろ」
「ど、どうしてですか?」
「いいから早く」
「は、はいっ!」
俺はエミリアを自分の後ろに隠す。
「おらよっ!」
俺は剣を一振り。
目の前に現れた鳥型の魔物を真っ二つにした。
「こ、これは……!?」
「ハインドイーグルだな。気配を消して獲物を襲う魔物だ」
「え、ええっと、私には全然見えなかったのですが……」
「そりゃそうだ。こいつの攻撃を事前に知覚できるのは、索敵系のスキルを持っている奴ぐらいだ。ま、Bランク以上の上級冒険者なら、素で見切って攻撃できるかもしれないがな。エミリアと同じEランク冒険者でも倒せない魔物ではないが、初撃は受けざるを得ない」
「そ、そうでしたか。……あれ? でも、それならなぜDランクのカイルさんが知覚できたのですか?」
「いい質問ですねぇ。『ハキ』スキルレベル4の『把危』を使ったんだ」
「把危? って、私には読めない文字ですが……」
「俺も読めん。だが、何となく推測はできる。おそらくだが、危険を把握する能力なんだと思う。この能力は、魔物の不意打ちを察知する感覚を鋭くさせる力なんだ」
「ええっ!? それって、かなり凄くありませんか!?」
「凄いさ。それも、攻撃系スキルと両立できるのがいい。普通、索敵系のスキルの持ち主は、戦闘能力が低くなりがちだからな」
「さすがはカイルさんです! もう無敵ですね! ……これなら、私の祖国の件も……」
「ん? 何か言ったか?」
「あ、いえ。何でもありません」
「そうか。まあ、このスキルもまだまだ完璧ではない。索敵能力を得たと言っても、本職に比べると少し劣る。戦闘系の能力があると言っても、今のところは植物系の魔物に対してだけだ。ゴブリンやハインドイーグルぐらいなら、素の戦闘能力で何とかなるが……。さすがにゴブリンキングやゴーレムが出てきたら、勝てる気がしない」
「なるほど……。そこで私の出番ですね! 私の『怪力』スキルで、カイルさんを守ります!」
「はっはっは。それは心強いな。頼りにしているぞ。って、意気込むのはいいが、俺の近くで素振りをするな! エミリアの力と不器用さだと……」
「え? あっ」
「ぐふぅっ!!」
エミリアのスイングにより、俺は盛大にふっ飛ばされたのだった。
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