悪夢

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 「電車が遅れていて、開店処理の為に急いで店のシャッターを開けないと……」  僕は、そう言いながら女の脇を走り抜けようとした。  その瞬間、女が左足を出した。  『ガキッ』  『ズダン』  威勢あまって前に倒れた。  咄嗟に両手で顔をカバーした。  「何をするんですか!」  うつ伏せになったまま叫んだ。  「逃げようとするからよ」  「……逃げようとした訳じゃないのに……」  ブツブツ言いながら、ゆっくりと立ち上がる。  「半べそを掻いても駄目よ! さあ、交番へ行きましょう」  女は僕の左手を掴みながら呟いた。  女の顔を見た。  『えっ?』    20代前半の僕好みの女だった。  「観念しなさい……私は合気道3段よ」  笑顔が可愛い。  男なら触りたくなる美ボディの持ち主だ。
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