5 アメシスト

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「可愛いね、鞠ちゃんは」 「…へっ?」 「ずっと見てた。隣のクラスの日高鞠ちゃん」 唇が離れきらない距離で、志貴は言葉を紡ぐ。 …ずっと見てた? 志貴が、わたしを? 「入学したとき可愛いなーと思って、笑ったらどんなんなるかなとか、声が優しいなとか、クソ真面目だなとか。考え出したら好きになって、巧付き合わせて鞠にぶつかった」 「えっ!??」 「偶然じゃない。俺が鞠好きになったのも、あの日起こった事も、俺にとっては運命で必然」 まともに勉強してない志貴が、丁寧で優しい言葉を紡ぐ。志貴の声は低過ぎず決して高くなくて、耳心地良い音がする。 志貴が身体を離した時、 ずっと手首に付けているブレスレットが目に止まった。 綺麗な紫色 黒や薄い青の玉が連なったブレスレット
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