3 アメシスト

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廊下ですれ違う時、 彼を含んだ集団の近くを通る時。 『……』 『……』 何故か彼と目が合って、逸らすようになった。 話さない。 挨拶もない。 会釈もサインもない。 ほんの少し、目が合うだけ。 長めの前髪から覗く双眼が、焼き付くように瞳に映る。彼を見付けたら『目が合う』と身構えて、すれ違った後は、彼の事で頭がいっぱいになった。 顔が熱くなる。 何故か、彼の事が頭から離れない。 ――そんな関係が暫く続いて、壊れたのが半年前。 あの日と同じ昼過ぎの校内で、グイッと引かれた腕に振り返ったら、窓の外に立つ志貴が居た。 「·····え?」 別棟の一階で、周りには誰も居ない。
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