3 アメシスト

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俺がそう言うと、鞠ちゃんは目を丸くした。 俺史上、一世一代の告白。 女の子には追い掛けられるのが仕事で、そのケツを追っ掛けた事は無い。元々女に差程の興味は無いし、周りの奴等が声を上げて騒ぐ程、性的な物にも興味は無かった。 ·····でも、 『新緑が日にあざやかに映る季節となるなか、私達は今日、この――高等学校の門をくぐりました。真新しい制服を身にまとい、これからの高校生活···』 背筋をピンと伸ばして、 真っ直ぐ前を見据える黒髪の女の子。 強気に見える二重瞼の下には、芯の強い綺麗な黒瞳を覗かせて。耳心地いい声で、一語一句丁寧に新入生代表の言葉を話す彼女に、俺は心奪われた。 息をするのも忘れた。 時間が止まったみたいに、目が釘付けになった。 『·····なぁ、あの子誰?』 『日高鞠。知らねえのかよ?』 『さっすがアイジン、世の中に興味無いね~』 『綺麗だよな。ミス三鷹だぜ』 『何それ?』 『三鷹中の文化祭で、三年連続ミスに選ばれた子。本人エントリーしてないのに、勝手に満票選出されたって』 『へぇー』 『アレはレベル高ぇわ。俺らじゃむりー』 『モデルと付き合ってるって噂あるしな』 『マジ!?』 その噂が、彼女が纏う空気から作り出されたものだというのは、数週間見ていれば気付いたけど。
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