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いつも、俺がどれだけ目で追っ掛けても、気にする素振りを見せない子。鞠ちゃんの顔が見たくて、鞠ちゃんが移動教室の度に廊下で待ち伏せした俺は、重度のストーカーかもしれない。
『アイジン、お前マジキメぇよ?』
『うっせ』
『お、来たぞアイジン!今日こそ話かけろよ』
『·····』
今日も、顔色一つ変えず、目の前を通っていく。
俺に見せるのは、横顔だけ。
真っ直ぐ前を見据える瞳は先を見ていて、傍らで空気を汚す俺なんか、全く気にしない。
小さな足音を鳴らして、背中は直ぐに離れていく。
···ただ、
『今日こそは話かけろよ!』
『·····』
あの日から。
少しだけ目を合わせてくれる。
それがどれだけ嬉しい事か。ほんの一瞬、一秒にも満たない交流だけど、俺はそれが凄く嬉しかった。
人は欲張りになる。
何ヶ月も見てるから知ってる。
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