60人が本棚に入れています
本棚に追加
鞠ちゃんが興味あるのは、女友達と勉強。それ以外の事には無関心で、男に話し掛けられても、横に居る女友達が邪魔をする。
だから、タイミングを図った。
掴んだ華奢な腕は、捻れば簡単に折れてしまいそうだ。
あの日から目に焼き付いて離れない、気の強そうな二重瞼で俺を見て。でも何処か不安げに瞳を揺らす姿に、気の強さは何処にも感じ取れ無かった。
『·····ぁの、』
『駄目?』
首を傾げて、視線を送る。
大抵の女はコレでころっと表情を変えるけど、鞠ちゃんの表情は曇るだけ。困ったように眉を垂らして、落ち着きなく瞳を揺らす。
意を決したように唇が動いた時、
怖気付いたのは俺だった。
『ちょっと考えてみて』
かっこ付けて馬鹿みたい。
いけると思って、ダサ過ぎる。
俺はこの子の心に、一歩も踏み込めてない。
見ているだけで近付けた気で居たなんて、俺の脳みそは余程腐ってるみたいだ。
―――
最初のコメントを投稿しよう!