4 アメシスト

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4 アメシスト

彼が言った"ちょっと考えてみて"の"ちょっと"が、 どれだけ考えれば良いか分からなくて。 気付いたら勉強そっちのけで、彼の事を考えていた。 クラスが違うから、彼が外で体育をしている時は教室から眺める事が出来るし。廊下の窓に張り付いていれば、良く渡り廊下を通る彼の姿を見る事が出来る。 見ているだけじゃ、考える事にはならないのに。 藍仁志貴という人はクールで、派手な集団の中で少しだけ近寄り難い雰囲気を纏っていて。周りの友達みたいに良く笑ったりしない。 彼のスマホはマナーモード機能が付いているらしく、うるさくない物だと知った。 髪は量が多いから、いつも後ろでハーフアップに纏めてる。溢れた後ろ髪が襟を隠して、そこから黒のピアスが何個も覗く。 あまり喋らないし、表情を変えないけど。 彼の目は、きっと一番綺麗だ。 肌も透けるような小麦色で、ふとした時に目を細めたり、眠そうに瞬きをしたり、暇な時に上を見るのが癖だったり。 『·····』 そして、私と目が合う。 渡り廊下と、4階の廊下
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