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志貴が後ろでハーフアップにしていた髪を解いて、そのゴムで私の後ろ髪を結い始めた。志貴と同じ黒髪。肩につく長さの髪は、たまに邪魔だけど。
「良いよ、自分のゴムあるから」
「良い。鞠ちゃんにはコレ」
慣れた手付きで縛ってくれて、志貴はリビングへと戻って行く。私も、トントンと料理を再開する。
付き合って、半同棲状態の私達だけど、
志貴が私に手を出した事は1度もない。
セックスもキスも、手を繋いだ事すら一度も無い。
噂では志貴の周りに居る人達は相当な女好きで、志貴も前は彼女が居て、それも凄く美人で。その人とは身体の関係を持ってたって噂で聞いた。
···それはそうだよね。
容姿は文句無しに完璧。
性格は掴めないけど優しいし、彼等みたいにうるさく騒いだりしない。いつも静かで落ち着いていて、周りが俗にいう付き合ったら面倒臭いあるあるも無い。
寧ろ淡白過ぎて、これで良いのかって思うくらい。
志貴はこれで満足なのかな。
いや、この関係だから良いのかな。
·····志貴の考える事は、良く分からない。
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