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「中学から一緒の人だよ」
「ふーん、珍しいと思って」
「何が?」
「鞠が俺以外で話す男。俺以外に笑う男」
「……」
「ちょっとムカついた」
ふいっとその顔がそっぽを向く。
志貴が嫉妬…?
わたしに?
「志貴はわたしが好きなの?」
ずっとごちゃごちゃ疑問に思っていた言葉が、すんなりと口を付いて出てしまった時には、自分の過ちに気付く前に、志貴の視線に貫かれる。
「何それ」って若干怒った目をした志貴は、持っていた箸をお茶碗に置くと、両肘をテーブルに付いて私を見た。
「そこから?」
「…え?」
「鞠、俺がふざけて付き合ってると思ってんの?」
「違う…!」
「じゃあ何でんな事聞くの?」
それ、は…
「志貴が…」
「俺がなに?」
「触ったり、近付いたりしないから…」
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