2 アメシスト

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「…」 「アイジン、お前は話を聞いてるのか」 「先生」 ひらりと右手を挙げた、藍仁志貴。 絶賛説教中だった今、先生と彼を取り巻く派手な集団が、一身に彼に視線を向ける。 「おー、どうした?」 「女子が、男を見るってどういう心理?」 「…は?」 「だから、真面目な子が、説教される駄目な男を見る時の心境」 「…カッコ悪い、だろ。だらしない男は嫌だろ女は。·····ん?」 説教の勢いを完全に失った教師は、 そうポツリと言葉を溢す。 それに彼は「ふーん」と声を鳴らして、体育館から消えていくセミロングの髪の後ろ姿を、静かに眺めた。 ―――
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