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「…」
「アイジン、お前は話を聞いてるのか」
「先生」
ひらりと右手を挙げた、藍仁志貴。
絶賛説教中だった今、先生と彼を取り巻く派手な集団が、一身に彼に視線を向ける。
「おー、どうした?」
「女子が、男を見るってどういう心理?」
「…は?」
「だから、真面目な子が、説教される駄目な男を見る時の心境」
「…カッコ悪い、だろ。だらしない男は嫌だろ女は。·····ん?」
説教の勢いを完全に失った教師は、
そうポツリと言葉を溢す。
それに彼は「ふーん」と声を鳴らして、体育館から消えていくセミロングの髪の後ろ姿を、静かに眺めた。
―――
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