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アフタヌーンティー
人々は口々に二人を褒め称えた。紳士服を着たオリヴァーは、さりげなくシャーロットの腰に手を回した。
「行こうか」
「はい……」
シャーロットは頬を真っ赤にして小さく頷いた。
（聞こえちゃったわ。美男美女、お似合いのカップルですって……きゃーっ！）
平静を装っていたが、心の中では叫び出したくらい嬉しかった。
オリヴァーは彼女を伴って歩き出した。これから二人は、街で評判のカフェでアフタヌーンティーを楽しみ、その後買い物をする予定だ。
（〈オリヴァー様誘惑計画〉を考えなくてはいけないけれど、でも取りあえず今は置いておきましょう。初めてのデートよ。ああ、ドキドキするわ……！ ）
シャーロットは朝のモヤモヤを忘れ、まずは二人きりの時間をたっぷり味わうことにした。
まずカフェへ向かった。白い壁に淡いピンクの薔薇が伝うお洒落な外観である。オリヴァーがドアを開けると、軽やかにベルが鳴った。足を踏み入れると談笑していた客が一斉にこちらを見た。見目麗しい男女の登場に、場がざわついている。
（嫌だ私……顔に何かついているかしら）
そう思うくらい、男性客がシャーロットに熱い視線を注いでいる。彼女と目が合った若いウェイターが、ぽっと頬を染めて、二人を一番良い席に案内した。
「いらっしゃいませ。何になさいますか」
「アフタヌーンティーを」
オリヴァーが言った。
「いいお店ですわね。飾ってある薔薇がどれも綺麗だわ。音楽も素敵」
ウェイターが去った後、シャーロットがあちこち見ながら微笑んだ。ピアノの生演奏が店内に流れている。
「そうだね。でもどの薔薇よりも君の方が綺麗だよ、俺の天使」
「……っ、オリヴァー様ったら」
シャーロットはいつものように真っ赤になる。
「あははは、相変わらず可愛いな」
しばらくしてアフタヌーンティーが運ばれてきた。香り高い紅茶と、三段になった銀のスタンドに乗ったティーフーズである。上から、あつあつのスコーン、生菓子や焼き菓子、サンドイッチの順に置かれていた。
オリヴァーは細かな花の模様が描かれたティーカップを指先で摘まむと、静かに傾ける。辺りのざわめきが一瞬遠くなるほど優雅な所作である。伏せられた長い睫毛もまたうっとりする程決まっている。
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