さすが公爵様

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さすが公爵様

 シャーロットはオリヴァーから数え切れないくらいの宝石と洋服を買って貰った。  もちろんこんなにたくさん受け取れない、と断ろうとしたが、しかしやはり彼も貴族の血筋である。愛する女性への贈り物は惜しみたくないと言われたため、とうとう全て受け取ることになったのだ。 「オリヴァー様、本当によろしいんですの、こんなにたくさんのドレスを……」  シャーロットが不安げに言った。 「もちろんだ。あ、君、それも頂こう。あと先程試着したものも、全てだ。頼んだよ」  オリヴァーが店員に言った。 「かっ、かしこまりましたっ」  店員がシャーロットが着た山のようなドレスを抱えてバタバタと走り回っていた。  オリヴァーが買ったのは、茶会用のティードレスや、晩餐会用のイブニングドレスや、外出用の上質な服や、流行りの帽子や、何足もの靴や、防寒用のストールなどありとあらゆるものである。  また宝飾店ではシャーロットの瞳の色であるサファイアのネックレスと揃いのイヤリングや、真珠のブローチや、珊瑚玉の髪飾りや、小指用の金の指輪や、ダイヤのティアラなど、数が多すぎてもう購入者本人さえ把握できないくらいだ。  もちろんどれもこれも目玉が飛び出るくらい高級である。オリヴァーはそれらを躊躇いなく買い続け、しかも後ほど全て屋敷に運ばせるのだという。 (す、すごい……さすが公爵様だわ)  シャーロットは呆然としながら服屋を出た。彼女をエスコートするオリヴァーは、小さく鼻歌を唄っている。普段のポーカーフェイスからは想像出来ないくらい表情豊かである。彼の同僚が見たらきっと驚くに違いない。 「君にはびっくりさせられるよ、シャーロット。どんなドレスも着こなしていたね。その美貌とスタイルの良さは、女神だって適わないよ」
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